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Phosphorescent - Muchacho [Artist P-R]

どっぷりの癒しではなく
キリキリの過激でもなく、
ほどよい中間でもない。
もちろん中途半端に空間を埋める一過性のポップミュージックでもない。
気張りすぎているわけでも
狙いすぎているわけでもない。
制作者のどんな意図も透けて見えてしまう昨今の音楽流通の中で、
Phosphorescentが聞き手の中に形成してしまう音響空間の微妙さは
なかなか形容しがたい。

形容しがたいからこそ語りたくなってしまうわけで、
そういう衝動を引き起こすところが、
音楽に力がある証拠なのだと思う。

聞き手の期待や読みを軽くかわして、
そのことの嫌味を残さずに
直接的に聞き手の聴覚的中枢を刺激する。
それこそ簡単に狙って実現できることではなくて、
往々にして偶然の産物、
あるいはアーティストの発信周波数と受け手の受信感度が
ある奇跡的なマッチングを起こしたときにのみ可能になるのかもしれない。

咀嚼する間もなく怒涛のように通り過ぎていく情報洪水の生活の中で、
Phosphorescentの音にあえて耳を傾け、
他のすべての情報をやり過ごしながらも、そこにとどまり続けさせるもの。

流れ込み続けるツイートも、
着信を通知し続けるスマートフォンも、
フラッシュし続けるテロップも、
そして目の前で途切れることなくすべらない話をするあなたやあなたも、
一瞬、静止画の中に蜃気楼のように埋め込んでしまう不思議な感覚。

もはや立ち止まろうにも、立ち止まるすべすら忘れてしまっている私たちの、
そのありのままの姿を切り取ってさらりと見せてしまう。
そこには否定も肯定もなく、批判も容認の意図もない。
ないからこそ説得力があるのだろう。

ふと立ち止まることすら新鮮味があるのだ、ということに気づかせるところに
この音楽の今日的な価値があるのだと思う。

種明かしに近いが、
National Geographic社の4Kビデオに解がある。
この「限りなく静止に近い状態におしこめられた地上最速動物のチーター」というモチーフに、Phosphorescentのコーラスが使われているのは、単なる偶然とは思えないのだ。
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