So-net無料ブログ作成

Eluvium - Nightmare Ending [Artist D-F]

背景に完全に溶け込んでしまう「背景音」から、
聞き手に明確に聞き取らせる「音楽」までをレンジと見立てると、
背景からは浮かび上がるのだが、
聞き手に意識させる前後を行ったり来たりする音。

しかし意識に引っかかりだすあたりが、
情緒的なところというのは、Eluviumならではなのか、
一般的なことなのか。

この音を通して引き上げられてくる気分が、
過去のものであれ、今のものであれ、
どれもメランコリックな彩りを帯びているのは、
音の影響なのか、それとも「呼びさまされる」という
行為自体が引き起こす作用なのか。

言えることは、ざわめく幾層もの音のじゅうたんと、
端正なピアノ音の空間の中にいると、
そんなささいな心の動き一つ一つにまで、
意識が集中することだ。

それ以上は聞き手に近づいてこない音は、
また背景の中に戻っていくように遠のいていく。
覚醒しているのは自分の意識であり、
Eluviumは時にその面前に現れ、
またすーっと姿を消す。
押しては引く繰り返し。

私たちは大きな記憶の「穴」を持っている。
大きさや底までの深さはよくわからない。
恐る恐る覗き込んでみると、
中には、生まれてから今までの、
いろんな気分や、イメージや、感情がぼやっと見える。
なんとなく引き上げるのは怖い。
いつでも引き上げられるのだけれども、
引き上げることで引き起こされる感情的な動揺を、
ちゃんと受け止めることができないことを、
本能的に知っている。
だから私たちは
覗き込む以上のことをしようとはしない。

Eluviumの音は、
そのぼやっとした、
底の見えない穴の中に垂れ下がる小さな糸のようだ。
一つ一つの音につながれた、記憶をたどる糸。
あるかないかわからないくらいの細い糸。
その細さは、穴から引き上げることのうしろめたさを象徴するように、
ちょっとでも強く引っ張れば、切れるようになっている。

私たちが深い意識に触れたい感じは、
Eluviumの音の細さぐらいのものなのだろう。

静かな妄想の時間を過ごす中で、
記憶の穴の中にある触れたくないものの存在を、
ちょっとずつ引き上げては、確認する。
それがいかようにもしがたく存在していることに
戦慄を覚えながら、
またそっと元に戻す。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0