So-net無料ブログ作成

Don Henley - End Of The Innocence [Artist G-I]

終わりの先に待つものを常に想起させる人です。
Eaglesでカリフォルニアン・ドリームの終焉を憂い、
Long Runの果てに自分たち自身の終焉を重ね、
セピア色のスタイリッシュなスチルの中に夏の日々(Boys Of Summer)を封じ込め、哀悼の意をこめてイノセンスの時代を見送る。

彼の中にはいつも「何かが終わり、何かが失われる」モチーフがある。湿ったハスキーボイスがかもし出す雰囲気でもあるけれども、それ以上に彼自身が抱える宿命的なものと映る。

終わりの先にあるもの。

終わりを文字通り終わりと考え、その瞬間までのプロセスを必死に大切にする考え方と、あらかじめ終わりを受け入れて、その先まで見通して人生の意味を考える。Don Henleyの音楽に漂う哀愁の中の明るさは、終わりを通過点と見るが故の複雑な心の動きからきているものです。

卒業式が終わって見慣れた黒板をもう一度見つめるとき、
飛び立つ飛行機の窓から、憧れの地をもう一度眺めるとき、
閉まる電車の窓越しに小さく手を振る恋人に微笑みで返すとき。

その瞬間が二度と訪れないことは誰もが知っている。
過去が何にもまして貴重に輝く瞬間、
わたしたちのこころに暗闇が立ちこめる。

それでも明日は明日としてやってくる。
どれだけ過去が輝いても、
明日があることのほうが大切なこと。

Don Henleyの音楽が鳴らすのは、そんな明日の景色。
明るくもなければ、暗くもない。
少しばかりの不安と、これから埋められる可能性の空白。

イノセンスの先に待つもの。
そこは希望か絶望か。
だれも知らない。

わかっているのは、
この音楽を聞いていれば、
迎え入れることができるということ。
nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Guillemots - Red [Artist G-I]

桜が満開で、
天気がよくて、
風が思いっきり強くて、
暖かいんだけど寒くて、
新年度の空気が街のあちこちに確認できて、
「もう一歩前へ」
と気持ちが前向きになる。

どこかから、
エネルギーがほしい。
進もうとする気持ちを支える、
体力や推進力がほしい。

Guillemotsには、
湧き上がる元気がある。
カラカラ回る蒸気機関車のようなエネルギーではなくて、
まるで手品のように、
サッとかざした手の中から、
からっぽの帽子の中から、
ハッとする驚きとともに、
鮮やかにポジティブな音を出してくれる。

種は明かしてくれない。
いろんなネタが仕込まれていることはわかるんだけど、
本当の肝心の秘訣は明かさない。
ストレートに吹き出るポップセンスは、
それだけでもいけるのですが、
エスニックだったり、
エレクトロニカだったり、
ちょっとちょっとひねりを加えることで、
何倍にもスパイスが効いて、
ピリリと印象に残る。

まだまだポップ・ロックの世界に、
種明かしをしてほしくなる、
秘密を明かしてほしくなる音があるなんて。
それだけで春のひと時を楽しめる、
実に旬の音。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Galactic Dice - Alleatoric Grooves [Artist G-I]

ギリシャで結成された2人組ユニット
淡々としたリズムの中に様々な音を混ぜ込みながら、複雑なタペストリーを織り成す様子は、ジャズの手法のユニークな水平展開と捉えることができます。
Herbie HancockやAphex Twinを影響に挙げることに納得がいきます。

こういう進化のあり方は確かに有りです。
インプロそのものの発展形は、まじめすぎる。
雰囲気重視のニューエイジは、つまらな過ぎる。
適度な複雑さと、全体の構成の安定を維持することは、
ジャズ的マインドで臨むことで、かなり上手にこなせる。

Galactic Diceの音さばきに酔うのは、
このあたりのバランス感覚がちょうどよいからです。

地中海を眺めていると、こんな感覚になるのでしょうか。
彼ら出身のThessalonikiは、ギリシア第二の都市。
きれいな港町のようですね。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Bojan Gorisek - Erik Satie Complete Piano Works Volume 1 [Artist G-I]

人は高層階に住んでいると、頭が悪くなるのだそうです。
先日、設計事務所の建築士の方から聞きました。
「住まいによって、夫婦の仲とか、家族の関係とか変わるものじゃないんですか?」と質問したところ、その通りなのですよ、という流れで出てきた話。

もともとは、高層マンションに住んでいるペットの犬の様子がおかしいことから始まったそうです。方向感覚や嗅覚など、犬が本来持っている鋭い感覚が失われることがわかり、「もしかして、人間にも同じようなことが起きるのではないか」と研究されるようになった。子供の成績は、高層階ほど落ちる。つまり高層に住んでいる子供は頭が悪くなる、という研究成果があるのだそうです。

地上に住むこと。
土からの湿気や香りや温度を通して四季を感じ取る。地に足が着いている無意識の安心感。そんなことが情緒安定や知的成長に効いているのではないかといわれているそうです。

でも、
「高層階から遠くの景色を眺めることは、いいんじゃないですか?」
と聞いてみると、まったく何の意味もないと言われてしまいました。

あなたは信じますか?

さて、
サティ

19世紀末のEric Satieのピアノは、どこか高層階の雰囲気。
当時の音楽界の常識=「地上」から解き放たれ、自由な思考の風船に乗って、ふわふわと空の上を漂っている。聞かれるため/聞くための音楽ではなく、そこに空気のように存在する音楽。地上人からすれば、確かに「頭の悪い」音楽なのかもしれません。

バベルの塔はいつかは崩壊します。
しかし、それでも高いところへ、天へと登っていこうとする人間の本能には、何か前向きな意味合いがあるような気がしてなりません。

Eric Satieをいつまでも聞いていられるのは、澄んだ空気のまどろみの中に、まだ知覚したことのない知性の領域が開かれていくような気がするからです。それはただの空想、ただの退行なのかもしれません。しかし、期待の心地よさは、賭けてみたい誘惑となって私たちを突き動かす。答えはそう簡単には出ないのです。

もう少し、空の近くにいてもいいんじゃないかと思います。

「高層階の犬はヘリコプターの夢を見る」
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Genghis Tron - Board Up The House [Artist G-I]

わー
やば
更新が遅れてしまって、日にちをかなりさば読まないといけなくなってしまった。一日一枚が、二枚二日になってしまってる。けれども一度、いいやと思うとどんどん崩れていってしまう。ごまかしてしまう。

過剰にヘビーなロックは、どこかごまかしているところがある。大きすぎる音、引き攣りすぎの叫び、大げさすぎるアレンジの中にかき消され、隠されてしまうものがある。執拗にラウドに暴れることで、見るべきものを見ず、考えるべきことを考えず、訴えなければいけないことを訴えない。

Genghis Tronのあからさまなヘビー具合は、どこかパロディを見るような自己批評性に満ちている。ヘビーであることの非合理性をちゃんと理解したうえで、非合理性も必要だと主張している。だから平気でエレクトロビートを入れるし、だから、ネチっこくならないし、飽きない。

通して聞くとかなり疲れるのですが、そう、フィットネスジムで負荷をかけたトレーニングをした後の開放感。のぼせた感じもGenghis Tronっぽい。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Christophe Goze - Turning Inside [Artist G-I]

なかなかアンビエント・ダウンテンポとジャズを合わせるのは難しい。そもそも定義からして没個性的で静的な前者に対して、自己表現を核とする後者とでは相容れない。Christophe Gozeは軽々とそれをやってのける。

厳密にはそれぞれを微妙に崩す形で。
主張を持ったアンビエント。
骨を抜かれたジャズ。
個々には成立し得ない状態を、
組み合わせることで補完させる。
巧みなアレンジです。

さて、4年に一度の2月29日。
とはいっても、
4年前の2月29日なんて覚えていない。
言うまでもなく、昨日と同じ一日だし、
明日も変わらない一日が来る。

しらけて過ごすか、
はしゃいで過ごすか、
これもどんな日であっても変わらない。
一日の終わりにちゃんと振り返っておきたい。

特別な日だからではなくて、
毎日を振り返りたい。

アンビエントであるはずの静けさが少し揺らぎ、
ジャズであるはずの存在感がかすむ。
微妙なニュアンスを含めて、確かめておきたい。
僕たちは動いているし、変わっているし、
実感することで生きている。

他愛のない文章の中にも、
今日の記録が刻み込まれている。
今日は今日で実に今日な一日だった。

Christophe Gozeの音楽が呼び覚ます、今日のたわごと。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Goldfrapp - Seventh Tree [Artist G-I]

余裕で聞かせるロック。
そうだ、今足りないのは「余裕」だ。
ダンスミュージックとはいえ、
一筋縄ではいかなかったGoldfrapp
進化の行方も堂に入っている。

グラムの痕跡を残しながら、
エレクトロニックのめまいの中にさらに深くもぐりこみ、
Cocteau TwinsやMazzy Starあたりの幻覚の映像美に戯れる。

決して無理をせず、早急にならず、大声も上げない。
けれどもここに鳴るのは、
どんなオルタナティブも、エクスペリメントもかなわない、
歪むことの美しさ。

壮麗な音のカーテンが幾重にも重なり合う上を、
ため息の冷たさと、風の空虚さをたたえたAlisonの声が滑り落ちていく。
圧倒的にクールなのに、じんわりと心に熱がこもってくる。

この表現の味わいはなんだろう。
この余裕はどうして生まれるのだろう。

それはもしかして、
ズレていることに対する無頓着さかもしれない。
時間軸のズレ、
感受性のズレ、
常識感のズレ。
大衆が呼応するリズムとは周期も振幅も異なる。
独自に勝手に振動するGoldfrappと、
私たちとのあいだに生じる位相差。
干渉と相殺をランダムにおこしながら、
不思議な文様を形作っていく。

あえて合わせないGoldfrappのありかたに、
余裕の効果と大切さを感じるのでした。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Gotan Project - La Revancha Del Tango [Artist G-I]

タンゴをクラブ用に。
発想としてはとてもユニークで、
確かにやってみると見事にはまる。
Gotan Projectの活動を、新鮮なクラブサウンド作りと捉えることは、決して間違いではありませんが、どこか物足りない表現でもあります。

歴史ある伝統的な表現様式。
肉体的な躍動感と、恋愛的な熱情が、
洗練されたスタイルの中にきれいに収まっている。
タンゴはあまりに完成されているがゆえに、
崩れないし、発展もしない。

立ち入るすきのないその領域に果敢に飛び込み、何も壊すことなく、新しい意味としてのエレクトロニックビートを埋め込む彼らは、音楽人というより、粋な盗人。わたしたち民衆をわくわくさせてくれる、音楽のロビンフッドなのかもしれません。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Ida - Lovers Prayers [Artist G-I]

例えるならば、大学生になった赤ずきんちゃんの音楽。
おとぎ話のようで、
案外ありえそう。
フォークぽくて、
以外に都会的。

音楽的にはアコースティックでフォーキーなポップスなのですが、言葉で捉えきれない余韻を聞き手にもたらす。この心地よさは、現実と空想の中間くらい。

もうおばあさんも死んでしまって、かつて飲み込まれたオオカミのことがトラウマとして残っている、18才の赤ずきんちゃん。森の中のおばあちゃんの家も取り壊され、なれない都会での大学生活。いまだに動物園にはいけないし、言い寄ってくる男はみんな冗談抜きでオオカミに見えてしまう彼女は、だから彼氏ができない。アパートに帰って、ひとりで聞いているのがIdaのLover's Prayers。

やさしすぎずに、淡々と流れていくスピードと距離感が、ちょうどいい。
昔の傷を癒してくれそうで、
普通ありえないよ、と耳打ちしてくれるような、
親切と残酷。

これは作り話?
これは勝手な空想?
そんな質問をすることも忘れて、彼らの不思議な空間の中を漂っていよう。意識が広がっていく中で、こだわりが薄れていく中で、感じたことのない落ち着きが天から降りてくるのです。


nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

Bobby Hutcherson - Montara [Artist G-I]

楽器って直感的なところがあります。
人間が反射的に、衝動におもむくままにする行動を、うまく利用している。バイブスなんか典型で、ヒトは棒を持つとたたく、というおそらく原始時代から変わらない行動特性をそのまま生かしている。

ダイレクトだから敏感に感性を拾う。

時に旋律を奏で、
時にリズムを刻み、
時に衝撃を解放する。

奏者の息遣いや鼓動がそのまま手を伝って音になる。

イチロー選手は、バットの先端まで神経の意識が行き渡っているそうですが、Bobby Hutchersonも同様のはず。スティックの先端までが身体の一部と化している。まるでシザーハンズ・・

ラテンの陽気と妖気。
Bobbyがたたき出す音は、
軽快にスウィングしながらも、
地面を踏み鳴らすように、
どっしりしている。

ジャブとボディーブローをミックスしたのような。
これぞ「手品」。
個人的にはYuyoでいつもめまいが起きます。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽