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King Creosote - From Scotland With Love [Artist J-L]

とてもローカルなフォークの香りに満ちているにもかかわらず、なぜかとてもユニバーサルに響く。こうして日本人にも、異国情緒としてではなく、まっすぐに心に刺さってくるのは、普遍的なロックの文脈上にあるからだろう。

スコットランドのことを歌っていても、バグパイプもタータンチェックもウィスキーも出てこない。コモンウェルスゲームの開催に合わせた企画とのことだが、例の独立選挙ともおそらく一線を画していて、たぶんそういう表層的なレベルではなく、自分が建つ土地に沁みこんでいる歴史と、その影響を否が応でも吸い込んでいる自分自身とは何かを考え直すことなのだろう。

メインストリームとも一線を画し続ける彼の姿勢も、居心地のいい居場所に引きこもるためというより、世界と対峙するためこその立てこもりに思える。だからその音は、負け惜しみにも、田舎趣味にもならずに力強く鳴る。

スタイル的には今の時代のどこにも新鮮味を持ってフィットすることはないかもしれない。
けれどもそんなことはくそくらえと思えるほど全面的に肯定させてしまう。

独立はならなかったけれども、あの地の人たちはみな、こういう強い誇りをもっているのだろう。
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Mark Kozalek & Jimmy LaValle - Perils From The Sea [Artist J-L]

とても寂しい音楽
おそらく周辺半径2mぐらいまでしか届くことを想定していないような。
Mark Kozalekは、身近にいる人の、身近ではない不幸な物語をとつとつと歌い、
Jimmy LaValleは、決して拡散することのない電子音を一つ一つ丁寧に紡ぐ。
寂しさは、誰かに向かって歌いかけているように聞こえないところから
来ている気がする。

半径2m以内。
そこにあるただ一つの鏡に向かって、
そこに映る自分自身に向かって、
独白のようにつづられる音楽。

鏡に映る自分に向けて歌う、
というのは十分に普通ではない景色なのだが、
ここには不思議な平安がある。

閉じているようで、開かれているからなのだと思う。

ネットで誰でも文章を書き、写真をアップロードし、
レコメンドを残すことができるようになってもたらされた最大の革命は、
コンテンツは、受け手が感じる価値によって規定されない、
ということだ。

通常、文章の価値は、読み手がそこに感じ入ることで、はじめて確立される。
受け手が価値を認めるものが記事になり、本になり、蔵書される。
一方で、ネットにあふれる数多の文章は、そのほとんどが、読み手に取って
価値あるものではない。

書き手の一方的な行為によって、そこに存在している。
送り手の都合だけでコンテンツが存在できるようになった。

それでは人はなぜ書くのか。
コンテンツの「価値」はどのように決まるのか。

より多くの人に自分を知ってもらうため?
いいねをたくさんもらうため?
リツイートをたくさんしてもらうため?
誰かと繋がりたいため?

このブログも御多分にもれず、あまり読まれることがない。
調べてみると、一日数回ぐらいのアクセス
幸運にもこれを読んでいる人がいるとすれば、
かなり奇跡的な巡り合わせといってもいいぐらいの頻度だ。
多くの人に知ってもらうどころのレベルではないし、
そういう野心も、まったく消えたとは言わないが、
続けることの主要な理由にはなっていない。

それではなぜ続けているのか。

特定の誰かに伝えたいためでも、
世の中に存在の証拠を残したいからでもない。

あるとすれば唯一、
そういうことに繋がるかもしれない、
「開かれた世界」に触れるため、そのためだ。

この文章が、この言葉のひとつひとつが、
外に開かれていて、誰の目にもとまることができる、
その実感を得るために、今日もまたひとつ石を積み上げていく。
開かれた場にあること、そのことが価値なのだ。

コミュニケーションの第一歩は、
コミュニケーションを取りたい相手を特定することや、
コミュニケーションしたい内容を決めることではなく、
コミュニケーションが成立しうる開かれた場があることを
実感することではないだろうか。

Perils From The Seaの寂しさと平安は、
このとても簡単な人の営みの原点をしっかりと認識し、
とても大切にしているがゆえに醸し出されるものなのだろう。

そこに具体的な「あなた」がいなくても、
ただ鏡に映る自分に対して歌っているとしても、
鏡の自分の後ろに世界が映っていること、
そこに誰かが映るかもしれないこと。
半径2mの先にも世界がちゃんと続いていること、
そこに誰かがいるかもしれないこと。
その地点から動くことなく発せられる音楽。

不思議とそれは、いや、それ故に、
心のどこまでも沁みこんでいく。
特定の相手も、
特定の意図もないがゆえに、
止める理由も、躊躇する理由もなく、
自分の思考の隅々にまで広がっていくのだ。

今日もひとつの文章が書けた。
Perils From The Seaのような浸透力はないが、
そんなことはどうでもよいのだ。
今日も一つ、開かれた場に小石を置くことができた。
それだけでいいのだ。
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lefolk - isn't this dangerous? [Artist J-L]

無料で全作品を聞くことのできるネットレーベル、Resting Bellからのリリース
ここは、名前の通り、休みに来るような感覚でことあるごとに訪れてきた、
お気に入りの場所。

このようなネットレーベルがなぜ存在できるのか。

Resting Bellにはとくに改まった大義名分のようなものはない。
レーベルの世界観にマッチするアーティストの作品が
気まぐれなタイミングでリリースされ、ダウンロードストリーミングされているだけだ。

音のやり取りはビジネスとしてやり取りされるわけではない。
アーティストは音を「売っている」のではなく、
聞き手も音を「買っている」わけではない。
限りなくゼロに近い流通コストでやり取りされているのは、
音を介した純粋なコミュニケーションのみ。
ここには、金銭よりも大事なものとして、
音の交換が成立している。

それはネットがもたらしたコミュニケーションの変革に応じた自然な流れだ。
誰もが発信し、誰もが受信できる環境にあって、
ブログやツイートといった「ことば」や
アップロードされる「画像」や「動画」は、
売買を介してやり取りするものではなく、
すでに私たちのコミュニケーションの無償の媒体になっている。
ネットレーベルでやりとりされる音楽は、
その「音バージョン」に近いものなのだろう。

特定の音楽を中心にコミュニケーションを図ろうとするとき、
手段として、テキストや画像を用いることは、とてももどかしい。
やはり直接的に有効なのは、何よりもそこに音があることだ。

音楽でしか表現できないからアーティストは音楽を発信するのであり、
音楽でしか受け取れないものがあるから聞き手は音楽を欲するのだ。
そこに言葉を介そうとした瞬間に、確実に失われていくものがある。

lefolkの本作のインスピレーションになったのは、
ソ連時代の宇宙飛行士たちに関する都市伝説「Lost cosmonauts」だという。
ガガーリンがはじめて宇宙から生還する前に、たくさんの宇宙飛行士たちが、
宇宙飛行の失敗実験で命を落としていた、といううわさ。

これ以上を「ことば」でつづろうとするとどんどん失われていく、
この初期段階のもやもやっとした感覚。
それを表現するには、もはやこの音でしかないというところから本作ははじまる。

ここから先のやり取りは、もうこの音の交換の中にしか存在しない。

ブログで音楽について「書く」ことのもどかしさは、
はじめた当初から、あるいは始めるもっと昔から感じていたことだった。
それでも書いているのは、単に書くことしかできないからだ。
本当は音楽を作り、Resting Bellなどを介して配信するべきなのだろう。
ただ悲しいかな、受けるのは音楽でしか受け取れないのに、
音楽で出す力がない。
言葉ででもそれは十分にできていないのだけれども、
とりあえずそのもどかしさ含めて出していくしかないと割り切っている。

このブログのことばたちが消えていくように、
無数の音たちが発せられたそばから彼方に消えていく。
ガガーリンが偉大なのか、失われた宇宙飛行士たちが偉大だったのか。
そもそも宇宙や月に人を送ることを国家の威信をかけて競うことの異常さ。
そんな思いつきの数々を、しばしこの音に乗せてみたい。

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Low - The Invisible Way [Artist J-L]

いま住んでいるアメリカの地域では、今年は17年ゼミの大発生があるらしい。
遭遇しても危険はないらしいが、出現予報を出して人々に知らせている。
なぜ17年や13年という変な周期で大発生するのかは諸説あって、
もっとも有力なのは、天敵に勝る集団大量発生の周期を、
他の周期をもつセミともっとも遭遇する回数が少なかった種が生き残った、というもの。
赤い目をしたこれら周期ゼミは、黒い目をしたセミを見慣れた日本人からすると、
宇宙から来たぐらい不思議な生き物に映る。

Lowは周期ゼミみたいなバンドだ。
20年の長い活動期間もそうだが、
他のバンド(音楽)との相関図を書いたとしたら、
近隣のバンドとの距離がとても遠い、
まさに同期する音を探すのが難しい、
不思議なところに位置する。

本作は、
おしっこを入れたプラスチックカップを、
千年後の人が掘り起こしたら、
きっと王様が泣きながら掲げたものに違いないと思うはずだ、
という、まさに17年ゼミ的としかいいようのない視点を持った曲で幕を開ける。

恐ろしいまでのスローテンポ。
ここまでくるとスタイルというより、
この中にしか表現しえない世界の存在を確信しているかのよう。
実際彼らの音が流れている間、
背景がなくなってしまう錯覚を覚える。
静かな「無」の中から音の輪郭や、
言葉やイメージが強烈に浮かび上がってくるのだ。

この感覚は、普通に音楽を聴くときと違う。

Holy Ghostが流れると、その音には、聖霊よりも
もっと得体のしれない「霊的存在」が宿っている気がする。

On My Ownでゆっくりと鳴らされる轟音は、
どんな激しいビートよりも、体の芯を揺さぶる。

土の中から幾多の命が生まれ
母も娘も土に帰っていく、
というMother。

彼らはほんとうに土の中に住んでいるのではないかと思ってしまう。

セミが土から出てきて1週間しか生きない、ということに
私たちははかなさや、哀れさを重ねる。
ずっと暗い土の中で育ち、たった1週間しか自由を謳歌できないと。

でもちょっと違う気がする。

セミにとっては土の中こそ居心地のいい住処だ。
17年間、彼らはゆっくりと自分たちの人生を、
安全に、そしてぬくぬくと生きる
地上に出てくるのは、死ぬためだ。
多くの天敵が待ち構える中、
最後の仕事としての後世への命をつなぐ作業を、
刻一刻と迫るタイムリミットの中で必死にこなす。

彼らの赤い目に「地上の世界」は、
どれほど恐怖と過酷と絶望に映っていることだろう。

私たちの目に映る地上も、
果たしてどれほどの「楽園」なのだろう。

Lowは17年ゼミとなって、改めて私たちに問いかけているのかもしれない。

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The Lumineers - The Lumineers [Artist J-L]

ここまでシンプルに、飾らず、新奇に走ることなく
新鮮な音楽的感動を呼び起こさせるのはすごい。
スタイルやらレファレンス(参照元)に意識が向かいそうになりながらも、
いや実際、ああこれは○○じゃん、うーん△△の影響・・
などといろんな読みをしながらも、
むしろそれを堂々と受けて立つことも含めて彼らは想定済みで
彼らが音楽を奏でているんだということに気づかされる。
それほどまでにひたすらに説得力がある。

優れた表現者というものは、スタイルだとかレファレンスだとかの表層を超えて、
その本質部分だけを的確に抽出する能力を持つのだと思うが、
Lumineersほど見事な「摘出手術」の腕裁きは見たことがない。
どこが見事かというと、彼らが純粋に抽出のみに特化していることだ。
普通なら、そこに自分たちならでの味付けや解釈などを加えて再提示をするのだが、
彼らはそれをしない。
抽出した、むき出しの本質をそのまま出してしまう。シンプルな音になるのはそのためだ。
無垢の音楽的本質、というものは、きっと料理する必要がないのだ。
そのままで美しいのだ。

だからどんな批評も受け付けない。
分析や分類が意味をなさないのは、
スタイルを持っているようで、そのスタイルに意味はなく
リファレンスにあたっても、そこに抜け殻を見るだけだからだ。
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The Kane Gang - The Bad and Lowdown World Of [Artist J-L]

80年代英国ソウルの極上盤。
ソウルっぽさのギリギリまで近づきながら、ブリティッシュ・ポップスの抜けのよさと、ロック的な客観視点を持ち合わせていて、完結した世界を構築していた。あまりのクールとパッションのすわりのよさゆえに、商業的な成功がミディアムにとどまったところがまたらしくて、ずっと誇り高くキープしておけるビンテージもの。
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Nigel Kennedy - A Very Nice Album [Artist J-L]

これほどジャンルを無視して自由に羽ばたく音も珍しい。
クラシックジャズロックさえも、この人のピアノタッチの前では意味をなさない。基本的にアンサンブルなのですが、時にオーケストラ、時にパンクバンド、時にジャズ・コンボと休むことなく自在に変身していく。変わり身そのものも音楽の楽しさといわんばかり。スイッチし、留まらずにモーフしていく過程がひとつのドラマになっていて、聞き応えがある。下手な映画を見るよりも知的満腹感がある。
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Jupiter One - Jupiter One [Artist J-L]

カッティングが気持ちいいポップ・ロック
明るく弾けていきそうで、急にメランコリックな色彩を帯びる。それでも勢いを失わないところに、今のスピード感覚を汲み取る。ふと立ち止まって泣くのではなく、走り続けながら風の中に涙を蒸発させていくような。そう、ぼくたちは止まってはいられない。考えたり、選んだり、相談するなんてしたくない。なぜゲームをやるのかなんて、なぜ山に登るのかと同じぐらいの愚問。ぼくたちは動き続け、画面を追い続ける中で生きるのだ。Jupiter Oneサウンドにも、それ以上もそれ以下の理由もないのだ。
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Love - Forever Changes [Artist J-L]

60年代のサイケっぽいアルバムをよく聞くようになった。
なぜなのだろう。
たぶん精神が不安定だからなのだと思う。
決まった形で展開したり、
お行儀のよいつくりであったり、
あからさまに狙ったりしていないものがいい。
この時代はこの時代でルールがあって、
類型化はできるのだけれども、
そのことをあまり意識していなくて、
むしろ能天気に「自由だ」と思っているところが、
救われる。
逃げているだけかもしれないけれども、
音楽の中にこれほど思い入れたっぷりに、
何でもかんでも詰め込んだ時代はない気がする。
同じ逃げるなら、
その先の光が見えるところがいい。

Forever Changesには、
西海岸のピュアな楽天性に、
ジャズやらクラシックやらの、
「余計なもの」がたくさん紛れ込んでいて、
なんだか節操がなくて、
ごちゃごちゃしているのだけれども、
ぜんぜん厭味ではない。
深く考えていないのだ。
少なくとも深く考えているようには、
微塵も見えない。

現実感だとか、
論理性だとか、
合理性だとか。

いわゆるそういう意味での「考える」がない。

などと説明っぽい文章を書いている自分は、
結局は逃げられないのだけれども。

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Lemongrass - Pour Lamour [Artist J-L]

さあ、旅に出よう。
そろそろ暖かくなってきたから、
荷物は軽くてすむ。

持っていく本を厳選しながら、
読みっこないことはわかっている。

置いていきたいものが山ほどあるし、
もっていきたくなるものもたくさんある。

ひとりで行きたくなるし、
こういうときだからこそ、
誘いたくなる人もいる。

どこにいっても自分は変わらないことが、
わかっているし、
どこにいっても「早く戻りたい」と思うことも、
わかっている。

それでもじっとしていられなくて
出かけたくなる。
たぶん本当は帰ってきたくない。
戻りたくない。
戻れないところにまで、
行ってしまえればいいのにと思っている。

むかし、バリ島の有名な夕日を眺めながら、
結構落ち込んだ。
心がひとつも晴れなくて、
あいも変わらず自分は自分で、
夕日ぐらいで何も変わらないことがわかったから。

かたく握りしめた手を携えて、
京都の街中を走ったときも、
言葉がひとつも出てこなかった。
運命は運命で、頑として動かないことが見えていたから。

Lemongrassは、軽いラウンジなのだけれども、日本からカリブからヨーロッパからそのほかどこからかわからないほど、あらゆるところを飛んでいく。醒めた音は、決してそれぞれの地に浸らない。表面をなでながら、なにも変えず、ただ通り過ぎていく。感傷の飛行機雲を後にたなびかせて。

今、旅に出ている。
二泊三日の短い旅だけれども、
きっと帰ってくるけれども、
帰ってこなかったときは、
祝福してほしいな。
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