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Primal Scream - More Light [Artist P-R]

2013年のリアリティとは何か。
オープニングナンバーの「2013」が流れた瞬間に、
脳天をぶっ飛ばされる衝撃を覚えるが、
なぜこれほどまで、この音に反応=同期してしまうのだろう。

音のエネルギーのほとんどは、
Pain、Elimination、Beastといったキーワードから想像できるように、
現状に対する強いネガティブな要素から成り立っているが、
否定、怒りや破壊的な衝動に結びつく過激さではない。

一方で、It’s Alright, It’s Okayという究極の楽天的なナンバーが、
あっけらかんと歌われたりするが、
これも、白々しさのぎりぎりのところで止められた装いから、
安易な救済観に対する、むしろ皮肉のように聞こえてくる。

これらすべてがぎゅうぎゅうに音の中に詰め込まれて、
全体として、高い緊張感に覆われた
「圧縮された渾然一体感」
を聞き手に引き起こす。

圧縮された感じは、
ネガティブの行き着く先としての「救いのない絶望」
あるいはポジティブのいく先としての「限りない希望」
どちらにも突き抜けることのできない、
現代のもどかしさそのものなのだろう。

会社に行けば、「低迷する業績」のもと、会社を追い出される。
調子のいい政治指導者が、「新しい未来のため」に意味不明な施策を打ち出す。
幼児が幼児を拳銃で撃ち殺し、集団を爆破しようとした人たちを、集団が撃ち殺す。
目に見えない微粒子におびえ、目に見えない素粒子に惑わされる。
テーブルの向こうに座る彼は、あなたの話を聞いていないし、
話しているあなたも、彼に向かって話をしているわけではない。

今に始まったことではなく、
いつの時代のどこにでも存在している。
世の中は常にこういった「違和感」のかたまりだ。

その違和感に対して、
あきらめることも、
がんばることも、
どちらもうまくできない。

現代の違和感への答えが簡単ではないこと、
その先の未来を、ネガティブにもポジティブに捉えきれずに、
複雑さの迷宮入りを果たしていることも、
うすうす私たちは感じている。

絶望や希望に帰着させようとした瞬間に、
一切のリアリティが失われる。
「2013」という現在は、それほどの強い重力で
私たちを違和感に縛り付ける。

More Lightを聞いてぶっ飛ばされそうになるのは、
この状態が崩壊寸前だからなのかもしれない。
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Phosphorescent - Muchacho [Artist P-R]

どっぷりの癒しではなく
キリキリの過激でもなく、
ほどよい中間でもない。
もちろん中途半端に空間を埋める一過性のポップミュージックでもない。
気張りすぎているわけでも
狙いすぎているわけでもない。
制作者のどんな意図も透けて見えてしまう昨今の音楽流通の中で、
Phosphorescentが聞き手の中に形成してしまう音響空間の微妙さは
なかなか形容しがたい。

形容しがたいからこそ語りたくなってしまうわけで、
そういう衝動を引き起こすところが、
音楽に力がある証拠なのだと思う。

聞き手の期待や読みを軽くかわして、
そのことの嫌味を残さずに
直接的に聞き手の聴覚的中枢を刺激する。
それこそ簡単に狙って実現できることではなくて、
往々にして偶然の産物、
あるいはアーティストの発信周波数と受け手の受信感度が
ある奇跡的なマッチングを起こしたときにのみ可能になるのかもしれない。

咀嚼する間もなく怒涛のように通り過ぎていく情報洪水の生活の中で、
Phosphorescentの音にあえて耳を傾け、
他のすべての情報をやり過ごしながらも、そこにとどまり続けさせるもの。

流れ込み続けるツイートも、
着信を通知し続けるスマートフォンも、
フラッシュし続けるテロップも、
そして目の前で途切れることなくすべらない話をするあなたやあなたも、
一瞬、静止画の中に蜃気楼のように埋め込んでしまう不思議な感覚。

もはや立ち止まろうにも、立ち止まるすべすら忘れてしまっている私たちの、
そのありのままの姿を切り取ってさらりと見せてしまう。
そこには否定も肯定もなく、批判も容認の意図もない。
ないからこそ説得力があるのだろう。

ふと立ち止まることすら新鮮味があるのだ、ということに気づかせるところに
この音楽の今日的な価値があるのだと思う。

種明かしに近いが、
National Geographic社の4Kビデオに解がある。
この「限りなく静止に近い状態におしこめられた地上最速動物のチーター」というモチーフに、Phosphorescentのコーラスが使われているのは、単なる偶然とは思えないのだ。
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Beth Rowley - Little Dreamer [Artist P-R]

ブルージーで
ジャジーで
落ち着いたアレンジの
土臭い音。

これは明らかにいまの流行。
これをやられると
しかし
はまってしまう。

だいたい
ピアノガンガンとエコーする中で
技巧と艶やかさが交錯するような
マニアックな歌い方をされると
言葉なんて失ってしまう。

少し冷静になって考えてみると、
ジャズソウルへの憧憬の現代的な解釈なのだろう。
Billie Hollidayにはあこがれるけれども、
改めて聞くには骨が折れる。
Arethaはすごいけれども、
あのパワーには付き合いきれない。

「聞いてるのよ」と装って、
クールを気取るのも野暮だし、
かといって今のシンガーなんて、
やっぱり薄っぺらい。

Beth Rowleyからすれば、
「ならばいらっしゃい、私のところへ」
ということになる。

実際、満たされるのだ。
十分に吸収され、
十分に研究され、
自然体で出てくる音は、
ぼくたちがBillieで痺れ、Arethaで鳥肌立てた快感を、
コンパクト
アフォーダブルで
コンビニエンスストア的手軽さで
提供してくれる。

I Shall Be Released
レゲエの気持ちいい乗り心地の上で、
かつてのイデオロギッシュな堅苦しさは溶けてしまっている。
2008年的な窮屈さの中にいる私たちを、
ぜんぜん違う形でBethは開放(Release)してくれているのだ。

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The Roots - Rising Down [Artist P-R]

ものすごく筋肉質な音。
楽器でガツンとくると、
かなうものはない。
ラップは声を武器としたものではなく、
声を楽器と同等の音楽表現手段として
再定義しようと試みたことであることを
思い知らされる。

The Roots
サンプリング
デジタル処理ではなく
あくまで生身の演奏と、
ゆらぎのリズムにこだわるのは、
音楽表現の豊かさといった
やさしいものではない。

声一本でさけぶ自分たち自身が、
どこまでいっても
デジタルにならない
0と1に還元されない
アナログ
連続で
不確定なものであるという
不自由で
動かしがたい現実を
目の前に掲げて
軸をぶらさないためだ。

筋肉
鍛えると
膨れ
怠けると
消え
触るだけで
その存在を
実感できるような
そんな音楽を
彼らは
作ろうとしているのだ。

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Kelly Rowland - Ms. Kelly [Artist P-R]

ほどほどなポップステイストが心地よい。
今を走り過ぎないポップ・ソウル
表に出過ぎないのは、露出度で巨大化したBeyonceを意識してか、この人は歌の後ろ側にいて、純粋に音楽のグルーヴに身を任せている。控えめがいいとはいわないけれども、ポップとはもともと受けることをどこかで意識すること。意識の度合いが強いと嫌がられるという皮肉な側面を持つことを、みんな簡単に忘れがち。Kellyの立ち位置は、好感度のスポットライトの真下にいるといってもいいのかもしれない。それは必ずしもスターライトではないかもしれないけれども、見ている人は見ているのだよ、喜んでいる人はうれしいんだよ。だからそのままでいてね。
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Retribution Gospel Choir - Retribution Gospel Choir [Artist P-R]

スローでヘビーでズルズルと流れていく様相を見せながら、
2分か3分そこそこで終わってしまうあっさり感がすばらしい。
だいたいこういう音は短くて5分、長くて10分以上続いてもおかしくない。むしろ続いてほしいと思わせるように人を引きずりこんでしまう。

RGBは、もっと割り切っている。
入り込みかけたところで、ぷっつり切ってしまう。
まるで落ち込もうとする意識のやりきれなさにだけ、興味があるかのよう。

瞬間瞬間の衝動を掴み取る。
火がつきかけた炎、
のど元まで来た叫び声、
振り上げた拳、
その瞬間で止めて、絵として切り取る。
そこに映る美しくも醜いありのままを見つめてみる。

振り下ろした後の、
壊れた後の、
燃え尽きた後の、
カタルシスの、
むなしさのもとを問うてみる。

衝動の放出に向かわない
ストイックなアプローチに
今日的なロック意識を感じる。

目の前に突きつけられた質問に
まだ答えを見つけられずにいる。

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Portishead - Third [Artist P-R]

10年という前作からの期間もそうですが、Portisheadという存在自体が、わたしたちが属する現実から浮いている。

今日も、体調不良で家でじっとしているときに、はじめてちゃんと見えた気がした。そうか。Portisheadは、調子が悪いとき、落ちているとき、外れているときに響くんだ。そういえば、ロックってそういうものだったよね。

普通の日常がくるくると回っていて、
みんながせっせと我を忘れて働いているときに、
熱にうなされながら、一人ぼっちの自分の頭に、
彼らのずしりとしたサウンドははまり込む。

特に何を訴え、何に疑問を持つわけではないのに、
この重さだけが妙にリアリティをもって迫ってくる。
特定のテーマやメッセージに媚びずに、
音の重量感そのものを表現する。

彼らが時代にとらわれない浮遊感に中にいながら、
強烈な存在感を示せるのは、
あらゆるものに潜む「重さ」に焦点が合っているから。
それは碇のように私たちの生の深いところに突き刺さっている。
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Hans-Joachim Roedelius - Durch Die Wuste [Artist P-R]

混乱しているときは、
混乱と秩序と、
動と静と、
loudとquietと、
Hans-Joachim Roedelius。
エクスペリメンタル・ミュージックの重鎮の1978年作品。アンビエントというにはガチャガチャといろいろなことがおこり、前衛的というには静かでやさしい。もちろん、こんなに安直にまとめるのは不謹慎かもしれませんが、俗っぽい聞き方を許容できるのが、音楽のすばらしいところ。この時代、Brian Enoなどポップ・ロックな人たちが注目し、音楽にも知的な自由風が吹いていたころ。スノッブな空気を追い払ってくれてすがすがしい。

一番の対比は
まじめと不まじめかもしれない。
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Jonathan Richman And The Modern Lovers - Jonathan Richman And The Modern Lovers [Artist P-R]

70年代初期にたくさん作られたJonathan Richmanの曲は、あまりちゃんとした形では発表されず、デモとして散らばっていました。有名なRoadrunnerもいろんな形で存在していて、録音順も発表順も実はよくわかりません。筆者もいろんなバージョンを持っているのですが、気分に合わせてランダムに聞いている。その散発的な印象が、とてもこの人らしい。

作品として、主張として、アーティストしてはっきりとした形で知覚されず、漠としたままシーンの歴史の中を幽霊のようにさまよっている。

一部にカリスマ扱いされるのも、このあたりの存在感の希薄によるところが大きい。

歳を取ってくると、いろんなことがどうでもよくなってくる。
むかし頑張っていたことも、ふと真ん中の芯が抜けたみたいに、光が消えてしまう。かつては見えなかった人生の意味や目的が、ようやく見えてきたタイミングで、見たくもないやと思ってしまう。こだわることがかっこ悪くて、何よりも、残りの命の重みが空気が抜けていくみたいに軽くなっていく。

人生の体重がちょうどこれくらいの軽さ。
Jonathan Richmanと同じ密度で、空中に浮かんでいる。

彼はずっと昔から、わかっていたんだ。
生きていく重さのこと。

外は雨。
傘を持って出て行くか。
傘を捨てて雨に打たれるか。
髪の毛に降り注ぐ、
服に染み込んでくる、
冷たい水。

何を気にして傘なんて握ってきたんだろう。
濡れまいと守ってきたのは、何なのだろう。
雨のどこがいけないのだろう。

Jonathan Richmanの音楽が鳴らし続けるのは、
身体に直接当たる雨の音。
傘を捨てた後にはじめて気付く、
あるがままの軽さの実感。

そりゃ風邪はひくさ。
服もだめになるさ。
お店に入ろうとしても入れてくれないさ。

でもすでにぼろぼろの身体や洋服がどうなろうと、
あんまり大きな違いはない。
お店なんかに入らなくたって、
いくところはいくらでもあるさ。

だってぼくはRoadrunner。
ロックンロールがすきなのさ。

今日も明日も誰かに打たれるために雨が降るように、
誰かに降り注ぐためにJonathan Richmanが鳴っている。
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The Pale Fountains - Pacific Street [Artist P-R]

この時代に郷愁を感じるのだろうか。
それともこの時代の音に郷愁が備わっているのだろうか。
いつも本作のジャケットを見ると、
胸騒ぎがする。

特に思い出が付随しているわけではないし、
泣けるほどのセンチメンタルな内容でもない。
ただ、素朴なアコースティックサウンドの潮流が流れ出そうとしていた時期の、いちばん鼓動を感じた音かもしれない。
このシンプルさでなければいけない理由。
この情緒が込められていなければいけない理由。
この静けさが、
このはかなさが、
この壊れそうな美しさが、
こうでなければいけない理由を、
鳴らすだけで納得させてしまう。

そこにいろいろな思いを重ねていたとしても、
思いを吸い取ることのできる浸透力が、
そのまま魅力として光っている作品。

不思議と吸収が飽和に達せず、
いつでも思いを吸い続ける。

胸騒ぎは、まだまだ行き場のない思いが、自分の中に渦巻いている証拠なのかもしれません。

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