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Temples - Sun Structures [Artist S-U]

60年代のサイケサウンドがただ好きだからといって、これほどのクオリティの楽曲群は作れない。どこが人を熱狂させるツボなのかを、曲の構成的な部分を含めてしっかりとつかみ、さらにはその法則を自在に操り、現代に通用する新しいグルーヴを生み出す確かな才能を持っている。しかもすべてとても無意識的に、感覚的にやってしまっている。

いまや日常になったツイート、フェイスブック、インスタグラムなどを通じた短く即時的なコミュニケーション(Short Instant Communicationという言葉を作ってもいいくらい)によって、私たちの知識の吸収の仕方、整理の仕方、考え方は変わってきている。まだ途上だと思うのだが、それでも一昔前とはずいぶん違う。

アーティストの作品も、それに伴って少しずつ変化しているはずだ。Sun Structuresにある、とても軽快な感じはその表れではないかと思う。

「サイケ」というジャンルにはまると、60年代当時の世相やイデオロギー、事件など、そのサウンドに影響を色濃く与えた周辺事象に否が応でも関心が向き、どんどんのめりこんでしまう。サウンド自体がそのような麻薬性、吸引性を持っていることも影響する。

Templesはそんな旧来的なはまり方とは無縁で、もちろんByrdsやKinksのSomething Elseを「いいね!」と思うのだろうけど、Primal Screamのコンサートも、渋谷の町並みも、Max Ernstも同じように「おもしろーい」と感じ、深く考えずに次ぎの対象にどんどん移っていく(もとネタ)。

彼らのサイケとは、日常に転がるちょっと変な尖ったものを次々つなげていく興味の連鎖のことであって、とどまらずにホッピングしていく思考過程で醸成され、磨かれていく感性が、彼らの創作の力になっているのだろう。だから彼らのサウンドは古臭く感じることなく、今の私たちの情報タイムラインの上を違和感なく流れていくのだ。
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Snowbird - Moon [Artist S-U]

オリジナルの作品と同時に、RxGibbsとの共同名義による全曲リミックスが発表されている。繊細なメロディが物語のように流れていくオリジナルとは対照的に、リミックスではメロディはばらばらに分解され、音や声の断片が呪術的なビートの上でループ状に再構成されている。

通常であれば、もと曲をしっかりと聞かせ、ある程度定着させてから「趣向替え」としてリミックスを出すところなのだろうけど、Snowbirdはそうしなかった。今と未来の時間軸を越えたところに彼らの音の意味するところがあるのだろう。

それがオリジナルであれリミックスであれ、音の感触は変わらない。

甘美な響きと、妖精が舞うかのような歌声が幾重にも折り重なり、聞き手を徐々に非日常に引きずり込んでいく。彼らの音楽は、やわらかな装いの中にも、荘厳でどこかヒヤッとする冷たさを帯びている。ちょうどヨーロッパの古い教会の中や、今はなき王朝の宮殿の中にいるときに抱く畏怖の念に通じる。

いまここにいるという現実感は、過ぎ去った膨大な時間、その中に封印されたさまざまな思いが「歴史」という圧縮されたパッケージとしてずしりと存在しているからこそ感じるもの。その対比を目の前にして私たちは己の身の程を知り、何かに対して感謝し、また畏れを感じる。

Snowbirdの音は、そんな時間の重みと瞬間の輝きの両方を内包している。
Cocteau Twins時代から綿々と続く幻想的な音作りや、オリジナルとリミックスを並存させる仕掛けも、私たちに「今鳴っている音は何か」を改めて問いかけてくる。もちろん、音楽も時間軸の上を流れていく歴史の一部であることから逃れることはできない。それを承知の上で彼らは、メロディやリズムという「流れていくもの」より、もっと深いところで変わらずに存在し続ける、「音の原質」のようなものを、畏敬の念を込めて追求しているのだろう。


-------Remixed---------


今年は寒くて、ずっと氷点下の日が続いた。
車のバンパーからはツララがたれて、雪上がりの朝にはダイヤモンドダストが現れた。
正確には、ただ細かい雪が舞っているのか、本当に空気中の水分が凍っているのか、素人目にはわからなかったが、恐ろしくなるほどの寒さと、キラキラ輝く美しさとのあまりのギャップにしばし呆然とした。

メンバーのStephanie Doseは、森や動物に囲まれた自然への強い思いが、本作の動機と語っているが、美しさの裏に常に潜む厳しさをわきまえているのだろう。牧歌的な印象はほとんど与えず、むしろ凛とした緊張感を全編に漂わせている。

Massive Attack、Chemical BrothersそしてSimon Raymonde(Cocteau Twins)。彼女とコラボしてきた人たちを思うと、厳しさ、暗さ、怖さといった彼らの創作の原動力の向かう先に、どうしても彼女のきらめきが必要だったのだろうと思う。

厳しさがなければ生まれることのない輝き。
厳しさを感じることでしか認識できない美。

意識が遠のくほどの寒さに身をおくことではじめて、
水の結晶がダイヤモンドに変わる瞬間を体験できるのだ。
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Sonny J - Disastro [Artist S-U]

ヘビーなリフにふざけたガールズ・ボーカルが乗っかってくると、思わずはしゃぐ。カット&ペーストのファンクビート・コラージュが脳内を埋め尽くしてくると、カラダを縛っていた常識の縄が解けて、ただ単純に鼓動が上がっていく。ここではブルースやジャズのグルーヴィーなフレーズも、ごった煮の食材のひとつとして、なべの中にぶち込まれている。古くはPrimal ScreamのScreamadelica、あるいは初期Fatboy Slimの方法論を模倣しているようで、模倣そのものもズタズタにする対象として割り切っているところが無性に気持ちいい。何を壊すわけでもない。いまのご時勢に単純にモノを破壊するカタルシスだけでは誰も盛り上がらない。Sonny Jは、そんな醒めた視点を逆手にとって、冷静をもてあそぶ。これで乗れなければ、たぶん楽しめるところはどこにもない。
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Suns Of Arqa - Through The Gate We Go [Artist S-U]

基調となるストリングスによるドローンの上を、笛やボイスコラージュが、空を自由に飛ぶ鳥のように駆けていく。低くうなるような声は歌っているのか、苦しんでいるのか、歌っているのか。音楽は規定どおりに進まなくてもいいし、記載される必要もない。1時間の自由音楽が収められたCDが2枚。その存在自体が何かを問いかける音楽のようにたたずんでいる。空の上で、雲を眺めながら聞いている。いや、聞いているのか、流しているのか、ただそこにあるのか。窓の外の空気は地上に繋がっているし、だんだん薄くなって宇宙へと拡散もしている。その中を大きな翼を持った鉄の鳥に乗って、ただ夢想する。

終盤にかけての大セッションからTomorrow Never Knowsへのなだれは圧巻。
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Carly Simon - This Kind Of Love [Artist S-U]

落ち着いた歌い方が、劇場的で情緒過剰になりがちなスケールの大きな音をうまく引き締めている。名の知れた女性アーティストの円熟期の作品は、ともすれば壮大で自己陶酔型になりがちなところを、Carly Simonは冷静に状況判断している。だからといって聞き手として幅広いところを狙っているわけではないけれども、決して安定顧客に依存するような安心作品ではない。少しずつジャズやロック的な「機微」を駆使して、ファン層の少し外にいるものをも確実に振り向かせる。フォークに乗せたラップ調などは聴いたことのない刺激に満ちていて、新鮮。
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Usher - Here I Stand [Artist S-U]

器用に歌いまわしながら、ショーとしての統一感を見事に維持。ラップをやってもバラードをやっても、刺激に訴えすぎないUsherのキャライメージは、常に一定の品質を維持し続ける。やや明るめのトーンでゆったりしたリズムは2008年のポップの「品位のレベル」をうまく押さえている。あまりにはまりすぎて、お人よし過ぎるところも憎めない。裏側まで見せる度合いをしっかり心得ているから、安心していられるのです。
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The Ting Tings - We Started Nothing [Artist S-U]

ブギの乗りのよさとわかりやすさに、コミカルな遊び心を持った楽しいサウンド。さらにそこにかなりヘビーに引っかかるギターサウンドをぶち込んで、パンク/オルタナティヴな刺激も満載。実にかゆいところに千手観音的な快感を放出している。一発乗りだけではなくて、リピート性を高めているのは、ポップな解釈に影をつけるような音の二面性。躁鬱か、精神分裂か。引き裂かれるのか、異種混合なのか。ルツボの熱さがそのまま快感へと連結する直情的な音作りは、確実に武器としての新しさを感じさせる。
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Donna Summer - Crayons [Artist S-U]

どどど
Donna Summer
だだだ
!!!

なんと17年ぶりの新作。

あれ?こんな感じだったっけ?
と思うのも無理はなく、
ぼくたちの記憶は、
70年代のディスコ・ミラーボールの
きらきらの中に封じ込められてしまったまま。

誰が2008年のクラブシーンに
Donna Summerを連れてきたのだろう。
なにを引き起こすのだろう。

例えはまったく失礼だが、
ゴジラがニューヨークでリメークされたときのような
デジャヴ
タイムスリップ
期待感が渦巻く。

だって
ゴジラみたいじゃないですか?

しかし
筋金入りのクラブチューンだ。
まいっちゃうな。
声まで
ぜんぜん違和感がない。

もう少し違和感があっても
いいんじゃないかな。

あのBee Geesのような
唖然とするような
悪趣味。

あの醍醐味が
70年代の魅力であり、
パワーであり、
胸のすく快感だった。

きれいで
賢くて
しっかり
ニーズに合致した
myspace的な
Donna Summerは
見事に2008年だ。

うーん
やっぱり70年代は
過去なんだなあ・・

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Santogold - Santogold [Artist S-U]

迷彩服を着て、
交戦ごっこ。
マシンガンを撃つ真似。
突撃の掛け声。

リアルな悲劇とは無縁に、
アミューズメントとして
セラピーとして
わたしたちは何かになりきろうとする。

Santogold
ささくれ立ったビートと
高音域に余韻が消えていく
落ち着かない女性ボーカルは
ごっことしてのやってはいけないことを
体感させてくれる。

パンクのように直接感情を吐き出すわけではなく、
内省的な解釈を全編にちりばめているわけでもない。
本作の、攻撃なのか防衛なのかあいまいなスタンスは、
わたしたちの安穏としようとする意識の階層を潜り抜け、
一種の錯乱状態を引き起こす。

湧き上がりながら、
打ちひしがれ、
興奮するなかで
落ち込む。

矛盾する複数のフェーズを同時に成立させようとするこのバンドの無謀な試みは、それだけで説明不能の存在感を生み、シーンの中に迷惑な居場所を構えるのだ。

さあ撃って来い!
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Martina Topley-Bird - The Blue God [Artist S-U]

エレクトロニックに処理された音が、
背景を凍りつかせ、
感情を停止させ、
ものがたりを否定する。

起承転結
喜怒哀楽
を拒否するかのように
無機質に音が流れていく。

ただそれでもクラブに浮かぶ
陽炎のような姿は
まぎれもなくあなたとわたし。
踊ることしかなく、
歌うことしかなく、
たたずむしかない。

たどたどしくも連なっていくリズムの先には、
明日の景色が広がり、
何かが起こる予感。

Martina Topley-Birdのポップでないポップな世界は、
箱庭のようで、
ままごとのキッチンのようで、
殴り書きされた日記のよう。

キッチュでサディスティックでストイック。

ロックを、ソウルを、フォークをせせら笑いながら、
圧倒的な説得力でサウンドをねじ伏せていく歌の力の、
何とセクシーなこと。

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