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Post Malone - Beerbongs & Bentleys [Artist P-R]

鮮やか過ぎるほどツボを突く見事なポップミュージック。
現在最も勢いのあるヒップホップのフォーマットを、告発や創造など常に付いて回る大義名分の「重み」から解き放ち、ひたすらポップに展開することに特化した結果なのだから、さもありなん。
コアな一群からは当然ながら批判が上がるものの、大衆文化とはそうやって発展していくものだと思う。

メッセージという中身も、エッジという外見も取り払い、残った枠組みを美しく魅せる。それは空手における「型」のようなものかも。相手がいて、真剣勝負をして、勝利する、という実用性だけが全てじゃない。むしろあっさり否定したところに新たな美意識を見出す。

白だ黒だ、などの攻撃にもめげないでほしいと思う。

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Snail Mail - Lush [Artist S-U]

朝の通勤満員電車の中で、つり革につかまりながら空に向かって大声でわめいている男の人がいた。数日前に新幹線で刺殺事件があったばかりで、周りのみなが身構えているのがわかる。カバンからナタでも取り出すのではないか。先の事件で殺戮を止めに入って犠牲になった人のことを思いながら、かさを握る手にギュッと力を入れる。その男の人の後ろで無邪気にゲームに講じる制服を着た3人の小学生の男の子に目をやって、いざとなったらこの子たちの間に入って盾になろう、などと心の準備をする。

アメリカのティーン、特に高校生たちの心情はどんなものだろう。
度重なる学校での銃による大量殺戮。友達が無防備に倒れていく中で、何もしてくれない大人たち。何も変わらない大人たちが作るこの社会。それでも小さい声を上げるそばからのバッシングや次の銃撃事件。

もちろんシリアやパレスチナでも悲劇的な状況があるのだろう。
いつの時代もどこにいても青少年が直面する大人の世界は絶望的に映る。

Snail Mailのデビューアルバム。
EPもそうだったが、はじまりがもろにCeremony期のNew Orderを髣髴とさせる。
カスカスの空間の中でヒリヒリとするギターサウンドに乗せた神経ギリギリのうた。
喪失からの再生を象徴するあのサウンドと重なるのは、単なる偶然や趣味性ではないと思う。
この音は必然であり、この音でしか表現し得ない何かゆえなのだ。

何かを変えようとか、全てにポジティブでいようとか、そんなきれいごとではなく。
また何も変わらないとか、全てに絶望してとか、そんな卑屈さもなく。
いわゆる「大人の都合」の一歩手前で立ち止まり、戸惑い、それでも一歩を進むことに腹をくくるときの、ありのままの状況がここにある。
それは青春期の一瞬の輝きであるだけでなく、大人のしがらみにどっぷりつかった人間の心をも突き動かす。

Ceremonyにとどまることはなく、Snail Mailの音は先へ先へと進んでいく。
決して派手ではないけれど、何かが開けていく希望をいっぱいに秘めている。

電車は無事に駅に着き、わめいていた男の人は降りていった。
すれ違いさまにその人の顔をみた。
無表情ではあったが、どこか悲しそうにも見えた。
この人はこの人でいろいろな事情を抱えている。
犯人扱いした自分が恥ずかしい。
そしてこんな住みにくい世界を作ってしまっていることが申し訳ない。
この落とし前は僕たち大人がつけなきゃいけない。

Snail Mailを聞きながら思う。
未来は君たちのためにある。
未来は君のものだ。

The future lies there for you.
The future is yours.

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