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The National - I Am Easy To Find [Artist M-O]

朝、いつものように家を出て歩きながらイヤホンをはめる。
満員電車の中に立ちながら、顔を上げて天井に目を向ける。
何を見つめるわけではない。ただ音が耳の中に流れ込んでくる。

思えば社会人になりたてのころ、工場に向う満員バスの中でも同じように音楽を聞いていた。
窓の外をぼんやり眺めながら、Lloyd Coleのファーストソロを聞いていた。

それから30年近い時間が経った。
MDプレーヤーはスマホに変わり、イヤホンはワイヤレスになった。
でもいつもの朝はいつもの朝。
今朝は、ここのところずっとそうであるように、The Nationalを聞いていた。

いまさらながらに涙が出るわけでもなく、過度に感傷的になるわけではない。
とてもエモーショナルな作品ではあるけれども、そういった感情の先にまで届く音というか。
長い長い年月の中にさまざまに湧き上がる感情や出来事。
それらを俯瞰しつつ、否定するわけでも肯定するわけでもない。
そのままで受止める強さみたいなもの。

もはやゲストボーカルとは呼べないほど、ほぼ全編を女声ボーカルとコーラスが占める。
バンドフォーマットである「枠組み」を壊し、外に対して開かれていようとする意志が見て取れる。
解き放つことで初めて受け入れることができる。
自らのアイデンティティを放棄することでより広い大きなものにゆだねたい。
その覚悟と自由と創造性がこの美しく繊細でありながらも力強さに満ちた傑作を生み出しているのだと思う。
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Big Thief - U.F.O.F [Artist A-C]

美しさは哀しさ
儚さは永遠
Beauty is sadness
Fragility is eternal

ごくごく稀に、初めて聴いていくそばから「これは歴史が変わる」と感じることがある。感じるという生易しいものではなく、激しく動悸がし、まぶたの中に涙が充満し、胸の奥からマグマのような感情の塊が噴出し、思考の全てがその一音一音の前で止まる。まさに耳の前でいま傑作が産み落とされる、歴史は変わり、世界も自分ももはやそれ以前ではなくなる、そんな他に例えようもないかけがえのない瞬間。

もうとにかくAdrianneの書く曲が素晴らしすぎるし、このバンドが奏でるサウンドが美しすぎる。「すぎる」という過剰を用いないと表現のしようがない。

ギターを控えめにしたコラージュ的な曲作りは今のバンドサウンドの流れではあるが、そういった分析的なこととか、テーマとか意味などの物語的な要素の一切を超越して、純粋にメロディと歌とアンサンブルのキレだけでとんでもない世界が作り上げられている。これほどサウンドだけでのめり込ませられたことは久しくない。

身も蓋もないけれども、ここにはただ「答え」が鳴っている。
なぜ音楽があるのか、
私たちはなぜ音楽を聴くのか、なぜ音楽を必要とするのか。

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